広島工業大学 オープンキャンパスをメタバースへ拡大

 現在、多くの大学でメタバース系のサークルが立ち上がり、さまざまな活動をしています。
 その先駆けとも言え、メディアでもたびたび取り上げられているのが、広島工業大学のメタバースサークル、HIT Metaverse(ヒットメタバース)です。
 HIT Metaverseでは、昨年に引き続きリアルのオープンキャンパスに併設する形で、バーチャルのオープンキャンパスである「広島工業大学 VIRTUAL OPEN CAMPUS 2023」を開催しています。

 今回はHIT Metaverse代表のらむね@lamneさんに、このバーチャルのオープンキャンパスのお話しを中心に、大学におけるメタバースサークルの実態などのお話をお聞きしたいと思います。

 らむね@lamneさんは、2021年の暮れにVR機器を購入され、初めてメタバース(VRChat)の世界へと入ります。以降、VRChat内でたくさんの友だちを作り、メタバースの魅力を知ることになります。その後、リアルの仲間と一緒にメタバースを楽みたいとの思いから、広島工業大学内にメタバースサークル「HIT Metaverse」を設立することになりました。さらに、その思いは広島工業大学にとどまらず、全国大学メタバースサークル連盟を立ち上げ、その共同代表を務めており、VRChatでは、初心者限定イベント「ゆるふわ談話室」の主催をするなど、今宵もメタバースの世界で生きています。

らむね@lamne:HIT Metaverse代表
Masa(まさ):NPO法人VXLink理事長

Masa(まさ) らむね@lamneさん、本日はよろしくお願いいたします。
 先ず初めに、HIT Metaverseについて簡単にご紹介いただけますでしょうか。

らむね@lamne はい、HIT Metaverseは、広島工業大学にあるメタバースサークルです。

 VRChatやClusterなどのソーシャルメタバースプラットフォームを活動拠点とし、「Innovation with Metaverse Connection」の活動理念のもと、メタバースでつながる人やものに着目し、企業や団体と協力して様々な活動を行っています。2023年6月26日に大学公認団体になりました。

HIT Metaverse ホームページ: https://www.hit-meta.net
HIT Metaverse Twitter(X): https://twitter.com/HIT_Metaverse

Masa(まさ) ありがとうございます。さて、昨年度、広島工業大学ではオープンキャンパスのメタバース併催を始められましたね。今年度も7/16と8/20の二日にわたって、メタバース(Cluster)で併催されるとお伺いしております。
 今年度のメタバース開催の特徴(目玉イベント)を教えていただけますか。

らむね@lamne 今年は去年のオープンキャンパスと比べて、ステージ企画やSTAFFによるキャンパス案内を新たに加えました。
 ステージ企画では、広島工業大学の教授による模擬講義を行ったり、インストミュージックユニットの「NAGISA lab.」にお願いして演奏会を開催していただきました。

 ただ大学を知ってもらうだけではなく、さらに楽しめるような企画に進化しています。

Masa(まさ) 大学教授による模擬講義とか、非常に面白そうですね。高校生にとっては、非常に参考になるのではないでしょうか。また、NAGISA lab.の演奏は、私も7/16に聴かせていただきましたが、とてもバーチャルとは思えない迫力ある演奏でした。
 このオープンキャンパスですが、リアルだけでなく、メタバースでも開催することになったきっかけや目的をお聞かせいただけますでしょうか。

らむね@lamne リアルのオープンキャンパスでは、どうしても遠方にお住まいの方や、一日中予定のある方などが参加できないといった課題がありました。
 広島工業大学に入学した当時、ちょうどメタバースにハマりまくっていた私は、どのような場所にいてもインターネットさえ繋がれば仮想空間とはいえ、海や山、クラブやゲームセンターなどに気軽に行けることを魅力に感じていました。それと同じように、大学にも行けたらなと思ったのが、バーチャルオープンキャンパスを開催するきっかけです。
 時間がない人でも、スキマ時間でアクセスして大学のことを知っていただいたり、メタバースにも興味を持っていただくことが目的です。

Masa(まさ) 行きたくても時間や費用の関係で、なかなかオープンキャンパスを体験できなかった高校生には、とてもありがたい企画ですね。また、保護者の方々や地元地域の方なども一緒に体験できて、身近に広島工業大学を感じられていいですよね。
 また、メタバースに興味を持っていただくための体験コーナーも設けられていましたね。

 メタバースのオープンキャンパスは、広島工業大学ではなく、HIT Metaverseによる開催となっていますが、特に理由などあるのでしょうか。

らむね@lamne 本音を言うと、バーチャルオープンキャンパスで使用しているメタバースプラットフォーム「Cluster」を企業が使用する場合、たくさんのお金が必要になり、3DCGアセットの持ち込みが禁止されるなどの制限があるからです。
 それは置いておいて、どうしても大学が運営してしまうと、伝えるべき情報だとは思うのですが、学部の魅力とか、各学科でできる勉強の情報など、大学の職員側が伝えたい情報だけ伝えるという現状があります。
 それに比べて、バーチャルオープンキャンパスは学生企画なので、職員ではなく、大学生が伝えたい情報を直接高校生に伝えることができます。
 正直、その大学の学生だからこそ、知っていることや分かることがあったり、後輩に伝えたいことがあると思います。私達大学生が伝えられることをできる限り伝えたいと思っています。

 また、HIT Metaverseはメタバース好きが集まっています。好きなことを活用できるこその、モチベーションがバーチャルオープンキャンパスの魅力に繋がっています。大学生が企画運営まで行うとこんなことができるんだよ。ということを、バーチャルオープンキャンパスで知っていただけたらと思います。

Masa(まさ) 学生やサークル主導のオープンキャンパスは、きっと高校生の心に響くでしょうね。また、自分も将来関わりたいと思う高校生もきっといるはずです。
 もう少し具体的に、メタバースのオープンキャンパスがどのような内容なのか、またリアルとの違いはどのあたりにあるのかなど教えていただけますか。

らむね@lamne メタバース空間上に再現された広島工業大学を巡っていただき、キャンパスのことをどこからでも【体感して】知ることができるのが、バーチャルオープンキャンパスです。
 学生が一から考えたキャンパス案内に参加できたり、メタバースアーティストが出演するステージ企画を観ることができます。
 大学を知るだけではなく、メタバースにも興味を持っていただけるように心がけています。
 リアルと違うところは、リアルの広島工業大学に行かなくてもメタバースを体験しながら、キャンパスの雰囲気を知ることができること。リアルのオープンキャンパスよりも、学生との距離が近いところにあります。

Masa(まさ) なるほど、気づきにくいポイントですが、リアルより学生との距離感が近いのですね。また、メタバース会場だと校舎間の移動も一瞬ですし、高校生の集まっている場所に案内の学生がすぐに移動できるなどは、リアルではできないことですね。
 さらに今回は、メタバースの参加者とリアルスタッフが、画面を通して交流できる場も設けられていました。外面の向こう側から手を振っていただき、こちらも手を振り返すという体験は、初めてで新鮮でした。

 初回のメタバースオープンキャンパスを開催する苦労は、どのあたりにありましたか。2度目となる今年は、どうでしょうか。

らむね@lamne まずは初回は、前例がないので、どのようなことをすればいいのか大変模索しました。インターネットで検索してもあまり情報が出てこなかったのです。
 また、メタバースのワールド制作に関する知識を持った学生が少ないことも大変苦労しました。幸い、広島工業大学には建築デザイン学科があり、CADをつかったモデリング技術を持っているので、ワールドに関しては完全に建築デザイン学科の学生にお願いしました。
 企画も私達なりに考えながら、できるだけいいものができるように会議を何回も重ねました。わからないことだらけだったので、とりあえずやってみようの精神で乗り切った記憶があります。
 今年は去年の知識やデータがあるので、比較的スムーズに準備ができたと感じています。あまり人気が出なかった企画を廃止し、新しい企画も行いました。
 ただ、去年頼った建築デザイン学科の学生が3,4年生になって時間が割けなくなり、今年のワールド制作に関しては全て知識があまりない私が行いました。やり方を見て知識を入れながらだったので、とても苦労しました。

Masa(まさ) 経験者が居なくなって、常に新しい人が入ってくる。大学のサークルでは避けられない問題ですね。非常に苦労されている様子がうかがえますが、今回どのような体制・陣容で準備を進められたのでしょうか。他組織などとの協力関係などはありましたか。

らむね@lamne 企画ごとにSTAFFを班に分けて、企画内容がまとまったら全体統括へ企画書を提出。フィードバックを行いながら、各班で準備を進めるような形でした。
 今年は、運営STAFFとして「広島工業大学 起業部」、オープンキャンパスのステージ企画として「広島工業大学 大谷教授」と「NAGISA lab.」にご協力いただきました。
 皆さんのおかげで、バーチャルオープンキャンパスは盛り上がっています。協力いただいた皆様には、本当に感謝です。(※他組織協力は、7月のみも含む)

Masa(まさ) 来年度以降は、もっとこうしたいというのはありますか。

らむね@lamne よりキャンパスの雰囲気を知ってもらうために、ワールドのクオリティアップをしていきたいと考えています。
 リアルに負けないような盛り上がりを見せるバーチャルオープンキャンパスを目指して、企画も強化していきたいです。

Masa(まさ) 来年もさらに期待できそうですね。ますます楽しみです。
 その実現に向けた課題などありますか。

らむね@lamne 現状、3DCGのモデリング技術を持った人が不足しています。
 今後は一定数でも技術を持つ人が生まれるように、仕組みづくりをしていこうと考えています。また、企画の運営力も、情報共有を積極的に行いながら向上させていこうと思います。

Masa(まさ) バーチャルオープンキャンパス、今回お話をお聞きして、さらに期待も膨らみ、わくわくしてきました。
 そして、昨年のバーチャルオープンキャンパスをきっかけとして、今年広島工業大学に入学した方もおられるとのこと。ますます、今後の企画に期待が寄せられますね。
 ぜひみなさんも8/20の会に参加してみてはいかがでしょうか。
 らむねさん、本日はどうもありがとうございました。8月の会も頑張ってください。応援しています。

「広島工業大学VIRTUAL OPEN CAMPUS 2023」概要

● 日時:2023年7月16日、8月20日9:00~15:00

● 開催場所:Cluster「バーチャル広島工大」

イベントリンク

7月午前の部https://cluster.mu/e/d2af0c4b-e6e4-4b24-9fce-bbf214ea22c4

7月午後の部https://cluster.mu/e/0e229f4a-5186-4091-b85a-6918eccd0963

8月午前の部https://cluster.mu/e/81c4ed72-154e-4440-970d-0b9b967b3dbd

8月午後の部https://cluster.mu/e/8111af62-46d4-405e-b022-648189464839

● 主催:HIT Metaverse

● 協力:広島工業大学起業部

※完全無料。自由に入退室できます。