青色の向こう #7(メタバース連載小説)

葵シュセツ

『緑色』

「そうなんだ・・・」

何とも間の抜けた声を出してしまった。ますますエーラのことがわからなくなり、混乱しっぱなしになっていた。戸惑いを隠せない僕を見てエーラは

「私が決めたことなの。今じゃなくてもいずれこうするつもりだったの」

じっとこちらを見て話した。今度は僕の方から視線をそらしてしまった。何て声をかければいいのかわからない。これで気兼ねなくエーラと会えるのか?そもそもこれからも会ってくれるのか?
不安と期待が入り交じった複雑な気持ちになった。
エーラが何を求めているのかもわからないまま話を続けた。

「それでエーラはお砂糖はもう作らないの?」

「あなたはどうなの?」

質問を質問で返されて困ってしまった。
実はお砂糖を作ったことがなく、どうすればいいのかわからなかった。
どんな感覚でお砂糖になるのかもわからない。
お砂糖になったからと言って何をするんだ?
わからないことばかりで答えようがなくなってしまった。

「えーっと・・・」

正直なところエーラに惹かれてしまっている。
もっと一緒にいたいし、話もしたい。
エーラは僕よりも何倍も早いスピードで話を進めている気がした。
そんな様子の僕を見てさらにエーラは

「あなたの正直な気持ちが聞きたいの」

相変わらず見透かしたように僕の気持ちに入りこんでくる。
僕は素直に今の気持ちを話すことにした。

「正直に言ってエーラに惹かれている。もっと一緒にいたいし、もっと話したいとも思っている。ただ今までそういう気持ちになったことがないしどうすればいいかわからない。お砂糖も作ったことがないしどうやってお砂糖になるのかもわからない。」

一気に話してしまって僕はやっと呼吸をすることを思い出した。
じっと見つめるエーラは何を思っているのか。
僕は素直な気持ちで聞いた。

「この気持ちが同じならお砂糖になるって事なのかな?」

エーラはそっと隣に座り、優しく話しかけてきた。

「そんなに悩まなくてもいいわ。一緒にいたいならそれで十分じゃない?」

「そっか。そうだよね。」

僕は意を決して気持ちを伝えることにした。

「エーラ。僕のお砂糖になってください!」

怖々と、でもはっきりと僕はエーラに話しかけた。

「もちろんいいわよ。その気持ちが聞きたかった」

そう言ったエーラはにっこり笑った気がした。
こうして僕らのお砂糖関係は始まった。
この時の僕はただ嬉しくて嬉しくて。そしてくすぐったい気持ちでいっぱいだった。
エーラが喜んでくれていることも僕の気持ちを喜びで満たしていったのだ。

次に続く・・・