Aleph #2(メタバース連載小説)

 家から職場までは一時間かかる。この一時間の間に私はSNSを見る。夜の間にVR住民たちが昨日の出来事を投稿するからだ。連中の多くは出社時刻の決まっていないご身分なので、私が寝た後にも遅くまで遊んでいる。今朝私が起きた時には書き置きはなく、今は朝の七時半である。
 駅までの道は川とも呼び難い細い水路に沿っていて、水路と道の曲がるあたりにあの鳥居と祠がある。陽の光の下で見る鳥居はみすぼらしく、両隣の家の庭先からはみ出した木の枝に覆いかぶさられて、人の生活の中に存在感を埋もれさせている。出勤途中にこの鳥居を見るたびに私は、幽霊や妖怪などいないし、こんな場所を気にするのは馬鹿げていると改めて思う。よしんばそういうものがいたとしても、アバターを着たVR住民と大して変わらないと思えば怖がる理由もない。
 ホームに電車が入ってくる。ドアが開く。一人も降りない。こういうことに慣れてしまえば人として終わりだと私は思っている。百人乗るなら百人降りるのが道理だろうと怒りを新たにし、決然と満員電車の中央に体をねじ入れる。閉じたドアと胸との間にある申し訳程度の隙間にスマホを差し入れ、手のトラッキングが途切れた奴のような格好でSNSを更新する。イベントの集合写真、内輪の集まりのワンシーン、アバターに着せる新しい服の販売告知、バグの報告、コミュニケーションの下手な奴への苦言、覗き見防止シートの面目躍如たるエロアバター自撮り、監視のためにフォローしたままのインフルエンサーのポエム、VRあるある動画、
「…………?」
 古代魚だった。昨日の包帯狐とやり取りをしている。
『お誘いありがとうございます! 今夜だったら行けると思いますので、是非に!』
『よっしゃ、ありがとうございます! 了解です! 何時くらいがいいですか? 特に希望なければ今夜10時とか?』
『10時で大丈夫です! よろしくお願いします!』
『了解です! 10分前ぐらいから適当に開けときます!』
「…………」
 こういう時に「俺も!」の一言で飛び込めるほどの尻軽であれば楽なのにと思う。私のキャラではない。だが今日の九時退社は決まった。言葉で参加を表明するのは性に合わなくても、現場に駆けつけることはできる。
「言霊風俗」である。
 勘違いしてほしくないのだが、私は古代魚以外の知り合いがいないわけではないし、今さらネットの知り合いを束縛したがるような歳でもない。人間型アバターを使ったからといって裏切り者呼ばわりするわけもない。しかし古代魚の中にまだまっとうな人間並みの付き合いに惹かれるような気持ちがあるのなら、今後のために私はそれを知っておく必要がある。人と交われるに越したことはなく、ただ私がそうなれそうもないというだけなのだから。
 職場の最寄り駅までの間にさらに何十人かが乗ってきて、ドアのところにいた私は車内の中ほどまで押し込まれた。日本の都会の通勤ラッシュは納豆とエロ漫画に次いで海外から見た汚点であるらしいが、私も同感だ。私の後に乗ってきた計何十人かの客は、ドアが閉まり電車が動き出した瞬間に「ひとり、ふたり……」と数えられる人間であることをやめて、電車になみなみと充填された流動体の一部となる。私もその一部になっていることが我慢ならない。そしてこれは電車を降りても続くのだ。プラットホームで、階段で、改札口で、「周りが歩いているから歩かないとぶつかる」というだけのパチンコ玉並みの思考で労働者どもが歩き続けている。その流れに乗ってようやく私も職場にたどり着くことができる。毎朝がそれの繰り返しだ。
 何をする職場かって? いいじゃないかそんなことは。私もよく分かっていないのだ、私が今していることが何なのか。

 夜の十時前、私は駅からの帰り道を歩いている。世の中堂々としていれば何とかなるもので、私が勢いよく席を立てば上司も同僚も声色以外には迷惑気分を表しはしない。特に今日は、絶対に十時までに帰らねばならない理由がある。「言霊風俗」がどういう所か、古代魚がどうするつもりなのかを見なければならない。街灯の少ない川沿いの道。水路から這い昇ってくる水音。寝静まりつつある住宅地。湾曲した路傍に立つカーブミラー。右手にある民家。鳥居。
 包帯狐の声を思い出した。
『おっ、例の言霊風俗っすか』
 馬鹿げた話だ。妄想ならもっと独創性のある妄想にするがいい。そして、私にそんな独創性はない。ないからといって、VR住人のような安直な現実逃避に逃げ始めたら終わりだ。
 私は鳥居の方を一度も見ることなく道を曲がりきり、自宅のアパートにたどり着いた。エレベーターのボタンを叩き、七階から降りてくるのを待つ。
 六階。
 今日は帰りにスーパーに寄る時間もなかったが、野菜はまだいくらかあったはずだ。「言霊風俗」にどれくらい時間がかかるか分からないものの、明日も仕事があるから、VRの後で適当に茹でて食べることにしようと思う。
 五階。
 ウイスキーはあっただろうか。今飲んでいる瓶ではない、次に開けるストックのことだ。私は決して多く飲む方ではないが、ウイスキーだけはストックがないとなぜか不安になる。
 四階。
 いやにエレベーターが遅く感じる。十時まで時間はまだ少しあるが、それにしても遅い。エレベータのボタンを押したのが何分だったか確かめなかったのが少しばかり悔やまれる。……いや、いくら何でも数十秒のはずだ。私はそこまで焦っているのか? 古代魚のことでそこまで?
 三階。
 エレベーターが止まった。
「…………!!」
 衝動的に頭に血が上った。咄嗟に押し殺した罵声がそれでも喉から漏れた。おおかた三階の住人が下に降りるためにエレベーターに乗ったのだろう。だがこの今乗るか。私が待っている時に、私の呼んだエレベーターを止めて、私より低い階に住んでいる奴がわざわざ乗るか。
 だが、私は苛立ちを呑み込み、小さく悪態をつくことしかできなかった。住人に悪意がないのは分かっている。悪意があるとすれば、それは世界の巡り合わせのようなものにあるのだ。ブラック企業。満員電車。思えばいつも私だけがこんな目に遭っているような気がする。それでいて一番世界が狡猾なのは、私が本物の不幸になって出るところに訴え出ないように、こういう中途半端な嫌がらせに留めているところだ。
 エレベーターが動き出した。二階。
 私は文字盤を睨みつけていた顔を慌てて無表情に戻した。三階から乗ってきた住人にガンをつけるのは忍びない。この時間に子供の遊びでもあるまいが、赤ん坊でも連れた親なら愛想笑いをしてやるくらいはやぶさかではない。
 一階。
 エレベーターの扉が開いて、無人の中身を私に晒した。
「……………………」
 きっちり六秒の間、私はその場に固まっていた。
 エレベーターは「私が何かしましたか?」とでも言うようにするすると扉を閉め、そのまま一階で押し黙った。
「――――っっっおい!! ふざけんなよお前!!」
 ボタンを拳で叩きのめして、他の部屋に聞こえていないかが一瞬気になり、そんなことを気にしたことがまた私の癇に障った。ワイヤーを切るくらいの勢いでエレベーターの床を踏みつけ、誅罰のつもりで四階のボタンを殴りつけて空間全体に向けて怒鳴った。
「黙っていれば要らんことばかりしやがって!! 何様のつもりだ、ええ!? 俺を差し置いてガキの悪戯なんぞに開けるな能無しが!!」
 四階で開いた扉に肩をぶち当てながら、私は自分の部屋に一直線に向かった。走ると負けた気がするので歩いてだ。こういう時には他の物事も上手くいかないことを経験則で知っているので、自分の部屋の遙か手前から既にポケットに右手を突っ込んで鍵を探している。やや難儀して探し当て、恋敵ででもあるかのように鍵穴に突き刺し、怒りのままに開けて怒りのままに閉めた。
 怒りのままに閉めたにしては、あまりに近所に配慮した音だった。
「――――はあ…………」
 いっそ、本物の狂人であれば楽だったろうと思う。私の誇りであるはずの理性のせいで、世界の当たり前の不条理を馬鹿正直に受け止めてしまい、そのくせ怒るにしても怒り抜くことができない。私を辛うじて職場と社会に繋ぎ止めている、中途半端な要領のよさを幸運だとも思わない。一縷の望みを懸けたVRでも、尖ったところのない蛙アバターには書き置き一つつかない。だが、私はこういう生き方以外にやりようがないのだということもどこかで分かっていた。
 古代魚が包帯狐と会っているはずだった。のろのろと玄関から身を起こし、パソコンを点けてVRゴーグルをかぶった。激昂したせいでうっすらと額にかいた汗が、ゴーグルのレンズを瞬く間に曇らせた。それでまた怒りが湧くのをぐっと抑えた。

          ◆

 製作者は海外の誰かだった。音声認識と画像生成AIとアバター制作支援ツールとを組み合わせ、ユーザーが声に出した言葉を擬人化して立体キャラクターとして出現させるワールド。それが「言霊風俗」だった。アバターを作れるというのは言い過ぎで、ユーザーがそれを「着る」ことは流石にできないようだったが、それは大した問題ではなかった。今も昔もネットの新しいもの好きにとって「バカ」とは誉め言葉で、噂を聞いて見物に来た私たちも、その技術の高さと使い道のしょうもなさに口々にバカだバカだと呆れ合った。
 古代魚と包帯狐もそこにいた。
「あ、こんばんわっす。やっぱり気になるっすよね、いらっしゃい」
「どうもどうも、なにさま蛙さん。ここに技術の解説があるんですけど、これ個人でやってるの凄すぎますねえ」
 私たちの他にも、包帯狐の知り合いであるらしい幾人かが成り行きで同じインスタンスにいた。居合わせた猫耳球体関節人形は人間が全能の神となる時代の狼煙だと言い、三頭身の幼女はアイデアは陳腐だがVRでやったのが凄いと言った。私はワールド管理者のパソコンが負荷で爆発しないか心配したが、相手が道楽のために機材を惜しまないタイプのバカであることを願うしかなかった。
 あからさまに夜の店を模した鏡張りのボックス席に、飾り気のなさが逆に馴染むタブレット型のUIが置いてある。最初に「指名」を言う役目を買って出たのは包帯狐だった。相変わらず、申し訳程度に体に巻きつけた包帯が局部だけを隠している。
 包帯狐は言った。
「『利き手を骨折して入院したショタ、身長141センチ、日焼けしてる、隣のベッドのケモお姉さんのことが気になってたけどショタが先に退院して後で親に内緒でお見舞いに行ったらお姉さん死んでた』」
 恐らく、密かに口上を準備してきたものと思われる。
 テーブルに置かれたタブレットが、認識した音声を文字起こしした文章を表示した。見ているこちらが恥ずかしい。画面はすぐに「呼び出し中……」に変わり、やや重いアバターの読み込み時間程度の間を置いて、包帯狐の前にキャラクターの立体モデルが現れた。私たち全員にも見えた。
 少年である。
「ん……? おお……? これは……うん……なるほどね……? そういう解釈……」
 包帯狐は、自分の入力に応えて生成されたそのキャラクターを前後左右上下から眺め回してしきりに頷いている。確かに少年型で人気のある有名なアバターに似ているし、背も低く華奢で、半袖のTシャツからのぞく首筋や腕は夏休みに毎日サッカーでもしていればこうなるだろうという程度に日に焼けている。だが、手を骨折しているようには見えないし、お姉さん云々に至っては要素の影も形もない。さすがに外見ではない設定を含めるのは反則だろうと思う私たちの前で、包帯狐がふと彼(?)の一点に目を留めた。
「あ、これはヤバそうっすね。や、皆さんにはわかんないと思うけどね、この肩に掛けてるカバンなんすよ。ここに“魂”があるんす。この水筒とか着替えとかって感じじゃない、なんかこうコンパクトな膨らみ、でも遊びに持っていくには大きめで重そうじゃないっすか、AIじゃ理解できないんで偶然できた形だと思いますけど、これ何入ってると思います?」
 包帯狐の質問に答えたのは私たちではなかった。包帯狐自身でもない。
 少年キャラクターの頭上にテキストチャット用のボックスが出現し、人力ではあり得ない数秒のうちに長い台詞を表示した。
『えと……いや、本……。看護師さんから、オレにって。外国の本で、分かんねーけど、読めるようになりてーんだ。お姉さんが読んでた本だから……。』
「ウッヒョ――――――――!!!!!! これはこれはこれはこれはこれは、シ・ン・ギュ・ラ・リ・テ・ィ・だァ――――ッ!!!! あ、自分ちょっとプライベートで入り直していいっすか?」
「ダメだダメだやめろやめろって!! 早まるな!! お前ホントに入院して死ぬつもりだろ!! リアルのお前はそんなえちえちメスケモじゃねえんだぞ多分!!」
 猫耳球体関節人形が即座に止めに入った。猫耳球体関節人形は右手に出した光線銃で包帯狐の視界を塞いで操作を妨害しながら、ふと思案顔になり、
「あれが通るんなら、これはどうだ……? 『要人護衛用に戦闘AIを搭載したメイドロボが、民間に払い下げられて中古市場を流れた後のを俺が落札して、軍人口調で昔のご主人様たちのことを聞かされながら銃とか突きつけられながら事務的にあまあまご奉仕されるやつ』」
 まっとうな人間には覚えられない長文を「言霊風俗」は難なく受け付け、十数秒ほどして、眼帯をつけた金髪銀目の長身の女を出力した。猫耳球体関節人形は頭から足先まで一瞥、
「あっ、これはいかんなあ。お約束の赤目でもないし、メイド服も上だけジャケット型に改造されてんじゃねえか。前のオーナーの趣味か? いかん、いかんすぎるぞ。ヘッドドレスはそのままでよし、拳銃よし、球体関節よし、ミリタリーブーツの長さよし、いやー、いかん、実にいかん」
 猫耳球体関節人形の呟きに、メイドロボが口をきいた。
『いつから私に指図をするほど偉くなった、ご主人? 無駄飯喰らいの役立たずが、黙って私の膝に頭を乗せろ。はあ……河合CEOは手ずから私に給油してくださったものだが、いや、半年も昔のことだ、愚図のご主人には何も期待せんよ。どうだ、私の下乳と太腿に挟まれて気持ちいいか? 返事をしろ、このウジ虫。』
「!! あ、はい、誠にお詫びのしようもございません、たいへん気持ちようございます。私めは何もできないサバゲーオタのミジンコのカスです。一生メイド様に甘えて暮らさせていただきます」
 それからは大騒ぎだった。古代魚が何やら絶滅した生物の名前をいくつか言うと、「言霊風俗」はそれらを混ぜたエビのようなシルエットをした衣装の美少女を出し、古代魚は唸りながら論文を調べ始めてしまった。二人で一組になったパステルカラーの妖精は自分たちと同じ姿を出そうと四苦八苦している。猫耳球体関節人形は床で痙攣しており、包帯狐は少年を抱いて「ごめんね、ごめんね」と言って泣いている。濃い隈のある美青年が出した『世界の終わり』はドレスの裾が燃え続けている巨大な美少女で、「言霊風俗」の店内は瞬く間に火の海になった。
 ワールドのあちこちで、読み込み中を示す半透明の人型の群れが立ち上がっていた。悪いことに、連続で言葉を入力しても前に出したキャラクターは消えず、手動で消さない限りいくらでも現れるようだった。人型の数は既に、ここにいる人間の数よりも明らかに多かった。『世界の終わり』の炎の中にちらつく人影たちは、頭上にネームプレートを表示していないただのオブジェクトでありながら、意志を持っているかのように揺れ、テキストチャットで口々に何かを主張しようとしていた。そのチャットボックスの点滅は人間たちの呻きのような呪文のような声と同期し、ソーシャルVRサービスそのものが振動しているかのような唸りを作り出していた。これだけの事が起きているのに、『言霊風俗』は一向に動作を止める気配を見せず、製作者がこの惨状を予期して作ったことはもはや明らかだった。
 私は一人、業火と人影の中で周囲を見回した。古代魚の姿は見えない。炎の“あちら側”に行ってしまったのだろうか。
 彼に釘を刺すためにここに来たはずだった。私自身は特に呼び出したいものがあったわけではない。しかし今、耐え難い混沌の中で、私は無性に誰かと話がしたかった。わけの分からないものを作る人間より、AIの応答の方がまだ筋が通っているかもしれない、そんな気さえした。タブレットはそこここに転がっている。私は床に落ちているタブレットの一つに近づいて拾い上げ、吹き込む言葉を考えながらもう一度私を囲む炎を見渡し、
 そして、私はその女に気づいた。
「――『10センチの線』」
 夜の店を模した店内のボックス席の陰にあって、その女は一人で尋常ならざる数の人型を生み出し続けていた。黒衣に黒い山高帽をかぶった、背の高い女だった。鏡張りの壁に唇を寄せるように向かい合って、身じろぎもせずに何かを唱えている。地獄の亡者が悶えているような騒ぎの片隅で、淡々としたその声を私も難なく聞き取ることができた。
「『9センチの線』」
「『9.9センチの線』」
「『9.8センチの線』」
「『9.89センチの線』」
「『9.889センチの線』」
「『9.888センチの線』」
「『9.8889センチの線』」
 入力の短さに反して、キャラクターの生成には異様な時間がかかっていた。炎の中、読み込み中の人型たちが無秩序に重なっては互いに弾き飛ばしているのも意に介さず、黒衣の女はそれらの中心で表情一つ変えずに、番町皿屋敷をさらに悪趣味にしたパロディのように数字を呟き続けていた。
“魔女”――――
 出で立ちと行動から言えば、そのような言葉になるだろう。しかしその形容から連想される達観や嘲笑の気配が、女の声からは全く欠落していた。喩えるなら買ってもらったばかりの積み木を慎重に積み上げる子供のような、何かを真剣に確かめようとする緊張とそれが隠しおおせない巨大な好奇心の片鱗が、硬く澄んだ声から零れ出そうとしていた。
 その黒衣の女が、突然私を振り返った。
 そのとき女の足元では、人型をした『10センチの線』『9センチの線』『9.9センチの線』『9.8センチの線』『9.89センチの線』『9.889センチの線』『9.888センチの線』『9.8889センチの線』が次々と立ち上がりつつあった。女の表情はそれらを背景にして声よりもなお平静に、しかし声よりも複雑に組織された何かの意味合いを帯びて私を見た。私はそれを正確に言葉に翻訳することができないが、一つ言えるとすれば、あれは蛙のアバターを着た『171.4センチの線』を見ている顔だったと思う。
 私は恐れをなした。
 反射的に女をブロックした。古代魚に声をかけていく余裕もなく、慌てふためいてそのインスタンスを去った。

次に続く・・・