フルトラDIY奮戦記
記事:やまいし
はじめに
こんにちは。やまいしと申します。
私はものづくりが大好きで、日々様々なガジェットを作っています。
本記事では、「フルトラDIY奮戦記」と題し、VR機器「フルトラ」自作への挑戦についてお話します。
メタバースでのフルトラとは
皆様は「フルトラ」をご存じでしょうか。
知らないという人から使用経験のある方まで様々かと思います。
「フルトラ」は、「フルボディトラッカー」の略称です。フルトラを装着することで、現実世界の身体の動きをメタバース上のアバターに反映することができます。

具体的には、VRヘッドセットとハンドコントローラーを使った上半身の動作に、フルトラによって体幹と下半身の動作が追加されます。
フルトラを使うと、全身を使ってコミュニケーションを取ったり、ポーズを取って写真を撮ったり、ダンスをしたりと、豊かな身体表現と没入体験が可能になります。
なぜ自作する気になったか
メタバースへの没入体験を豊かにしてくれるフルトラですが、これは一般に高価な機器です。
全身を動かせるだけのトラッカーを揃えると、IMU式という慣性を使って動きを検出するタイプのフルトラで3万円程度以上、レーザー光を使った高精度なタイプのフルトラで10万円程度以上の初期投資が必要になります。
初めてVRヘッドセットやPCを買い、財布を空にしてメタバースに飛び込んだユーザーにとっては、フルトラは気軽に揃えられる代物ではないのです。
しかし、フルトラは本当に高価な機器を買わないとできないのでしょうか。
もっと簡単に安くフルトラを体験する手段はないものか?
そうだ、フルトラを自分で作ってみよう!
そんなところから私のフルトラDIYは始まりました。
最初の構想と試行錯誤
私の最初のフルトラ制作構想は、関節の動きをセンサーで直接測ろう、というものでした。
全身にロボットスーツのような構造を装着し、角度センサで関節の角度を測っていくものです。

しかし設計を進めるうちに、機器自体の大型化や装着の手間による没入感の低下といった問題に直面し、この案は没になりました。
次に考えたものはカメラを使ったものでした。
カメラは2次元の情報を取得できるデバイスです。これを2台以上用意すれば、GPS等に使われている3点測量の原理で、3次元空間での位置を取得することができるはずです。あとは体の関節に目印になるマーカーをつければ、カメラがマーカーを捉えて、コンピューターで全身の姿勢が計算できるようになります。

しかしこれも大きな問題がありました。カメラは画角内に見えているものしか検出できません。私の部屋が狭すぎて、全身をカメラが捉えられなかったのです。そんなわけでこれも没。
こうして試行錯誤を進めるうちに、SNSを見ているとIMUを使ったフルトラを自作しているユーザーに出会いました。これが大きな転機となります。
実用化と初めてのフルトラ、商品化まで
IMU方式のフルトラは、簡単に言うと慣性を計測し、全身の動きを検出します。
身体の各部位にトラッカーを装着しPCと繋ぐだけで、手軽にフルトラを体験することができます。
時間がたつと姿勢がずれていくデメリットはありますが、それでも手軽さが大きなメリットになります。
私が最初に作ったIMU方式のフルトラは、単三電池で動作し、無線でPCと接続するものでした。
基板を設計し、基板制作を外注し、はんだ付け、ケースの3Dプリントと製作を進め、ついにDIYでのフルトラ制作に成功しました!


やはり全身が動くと没入感が一段上がり、メタバースの体験がとても楽しいものになります。
しかしこれにも問題がありました。電池が6時間しか持たないので、ほぼ毎回すべてのトラッカーの電池を交換しないといけないのです。
これを解決するため、私は無線ではなく「有線」でトラッカーを繋ぐアイデアを考え出しました。
有線にすると電池交換が要らなくなるだけでなく、高価な無線ユニットや電源回路が不要になり、コストも抑えることができます。
これは新たな「フルトラ」の形として提案できるのでは?
そう思った私は、商品化を進めることにしました。
安全性、在庫管理、保険、税金、様々な困難がありましたが、数か月にわたり試行錯誤と調整・テストを重ね、BOOTHで同人ハードウェアとしてフルトラを発売することができました!

フルトラDIYの経験を振り返ってみて
ここまで振り返ってみると、最初は軽い動機から始まったプロジェクトがここまで大きくなるとは思っていませんでした。
安くフルトラをと考えた結果、市販のフルトラが何台も買える金額をつぎ込み、結果商品化して利益を出すまでに至ったので、諦めずにやり切ってよかったなと思います。
メタバースは私に良い動機とモチベーションを与えてくれました。私はこれからも様々なものづくりに挑戦していこうと思います。
みなさんもメタバースでものづくり、始めてみませんか?

